2019年2月20日水曜日

欧州議会選挙への仏の右傾化を 反ユダヤ騒動で マクロンは回避できるのか?

(パリ=飛田正夫 /パリ時‎mardi ‎19 ‎février ‎2019 17:20)予想されたことだが、19日にアルザスのストラスブール北西5キロの郊外にあるカトゼンハイム(Quatzenheim)でユダヤ人墓地の墓石96基に青と黄色の鍵十字の落書で冒涜されたという報道があった。マクロンはこの事件を重視してフランス全体の連帯を呼び掛けている。今夜はパリの共和国広場では反ユダヤ主義抗議集会が開かれる。このところフランスでは11日はパリ第13区の市庁舎前の黄色い郵便箱に芸術家が描いたユダヤ人であるシモーヌ・ヴェーユの似顔絵に鍵十字の落書きがされたと騒いでいる。17日にはユダヤ人である哲学者のフィンケルローがモンパルナス大通りで黄色いチョッキ(ジレ・ジョンヌ)運動に混じってデモをしていたイスラム原理主義者のサラフィストから人種差別の暴言を受けたとして、テレビや政府が大騒ぎしている。テレビやラジオは国民の頭を沸騰させているのだが、はたしてこのような反ユダヤ主義の騒動で、ルペン支持が進むフランス国民の右傾化を欧州議会選挙で阻止できるのか?という疑問が起こる。それと共にその人種を手段として扱う危険というものが短絡的な怨念を焚きつける反応を利用しているようで、共和国のライシテの価値に照らして余り考慮されてないように思われる。

●フランスを根底から揺さぶる黄色いチョッキ(ジレ・ジョンヌ)運動の台頭でマクロン党が弱体化している。これで5月の欧州議会選挙では右派のマリーヌ・ルペンの所が一番得をすると見られている。マクロン政府はこれを阻止し挽回するために、恐らくはこの反ユダヤ主義に抗議することでルペンに対抗しようと考える作戦なのであろう。これは既にサルコジの時にフランス中に火が付いた、その初めにパリ郊外青年暴動というイスラム教徒の子弟を駆り立てた事件があったのを覚えているだろう。またサルコジの大統領選挙の真っただ中の第一次投票と第二次決戦投票との間には、ユダヤ人学校や軍隊を連続襲撃したトールーズ・モンターバン事件がイスラム人のメラ青年によって引き起こされている。しかしこれは彼が危険なイスラム諸国歴訪の旅から帰った者であるにもかかわらず、監視されずに放置され続けていたわけで、テロは必然的に起こるようになってという次第もあるのである。
【参考記事】
https://www.liberation.fr/depeches/2019/02/19/macron-promet-des-actes-forts-apres-la-profanation-d-un-cimetiere-juif-alsacien_1710315

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